日本の精神科病院の歴史において、過去には看護者から入院患者への痛ましい虐待事件が何件か起きております。
今回、ある精神科病院での2件の虐待事件をもとに、その事例にはどのような背景があったのかを考え、今私たちが行っている看護についても振り返ってみました。

精神科は閉鎖的な空間であることから、どうしても他者の目が入りにくい状況にあります。そうなると、病棟内のルール(刃物類、陶器などは持ち込まない、持ち物には全て名前を書いてもらう、金銭は主治医から自己管理を許可された人だけ持ち込む、など)は独特なものとなり、患者さんからすると医療者側が強い立場になってしまうので、医療者も勘違いを起こしやすい状況になると言われています。また精神疾患は入院が長期化しやすいので、患者-医療者との関係も密接になり、悪く言えばなあなあな関係になる傾向もあります。
このような形が続くと、患者さんたちの自立する気持ちは阻害され、ホスピタリズムを引き起こし、社会に戻ることが困難になっていきます。

精神科病棟内での常識は、社会の非常識となってはいけません。患者さんもゆくゆくは社会に帰っていく方たちなので。
そうならないためにも、普段はあまり意識しない「倫理」について考える場を作ることは、非常に大切なことだと思っています。

参加者一人一人、やはり普段はあまり意識できていなかったようなので、患者さんやそのご家族とのコミュニケーションや考え方を改める良い機会となったようです。また他の方の意見を聞けたことで、その人自身がそのように考えていたんだと新たな発見もあったようです。

また定期的に「倫理」についての研修を続けていきたいと思います。